Ankerからなかなか尖った面白い製品「Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps)」が発売されました。
SDµSDのカードリーダーなんですが、マグネット式でMagSafe対応のiPhoneにピタッとくっつけて使うことができます。
しかもiPhoneの動画を直接SDカードに書き込むことができるので、iPhoneの容量を気にすることなく、撮影が楽しめます。
一見便利そうに聞こえますが、落とし穴があります。
SDカードに直接書き込めるのはProResコーデックのみで、通常の動画やシネマティックモードの動画はiPhone本体にしか書き込めないのです。
この「ProResコーデックのみ」というのが結構問題。
ProResコーデックは、めちゃくちゃ容量を喰うので、よほど動画にこだわりのある人くらいしか使わないはず。
通常動画なら、一度iPhoneに保存したのち、Anker MagGo USB-C カードリーダー経由で、SDカードに移して、iPhoneの空き容量を確保する、という使い方になります。
さっそくレビューしていきましょう。
製品スペック
製品名 | Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps) |
サイズ | 約60 x 60 x 15mm |
重さ | 約45g |
搭載ポート1 | USB PD対応USB-C充電ポート (最大出力42.5W) |
搭載ポート2 | SDカードスロット (最大312MB/s) |
搭載ポート3 | microSDカードスロット (最大312MB/s) |
内蔵ケーブル | USB-C 最大転送速度10Gbps |
注意事項 | 10Gbps USB-CコネクタはiPhoneの最高伝送速度に合わせて設計されており、SDカードスロット/microSDカードスロットでは最大312MB/sのデータ転送が可能。 |
カラー | ホワイト ブラック ミントブルー |
パッケージ内容 | – Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps) – 取扱説明書 – 24ヶ月保証 + 6ヶ月 (Ankerで会員登録後) |
外観
ケーブルを除けば、直径6cmの片手に収まるサイズ。
背面にはマグネットが仕込まれていて、MagSafe対応iPhoneに吸着してくれます。
右サイドにUSB-Cポート。
本体をケーブルでiPhoneに接続していると、パススルーで、最大42.5Wで充電可能。
左サイドにはLEDインジゲーターと背面のキャップを取り外すための切り欠きがあります。
キャップはマグネット式で、取り外しもラクラク。
内部には、SDとmicroSDのカードスロットがあります。
ちなみにTFと印字されていますが、microSDカード=TFカードです。
TFはサンディスク社が付けた名称で、microSDは規格標準化団体SDアソシエーションが付けた名称。
iPhone15Pro Maxに装着
ケーブルの長さは、約6.1cm(コネクタ部除く)で、iPhoneに接続してちょうどMagSafe部分に届くように設計されています。
画像は、iPhone15ProMaxですが、ケーブルの長さに問題はありません。
磁力はなかなか強力。
SDカードもmicroSDカードも、カチッと音がするまで押し込んで挿入、取り出すときも押し込んで跳ね返ってくるタイプ。使いやすい。
SDカードは、取り出しにちょっと引っかかるけど慣れれば大丈夫。
USB-Cのコネクター部分は、少しだけ飛び出した形状なので、厚めのケースでも大丈夫そう。
画像のケースはCASEKOOのMagicStand Proケース。
ネックストラップホルダーやかなり厚めのスマホケースを使ってる方は注意が必要です。
iPhoneとケーブルで接続するとインジゲーターが光って知らせてくれます。
カードスロットの性能
Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps)の、SDµSDカードスロットは最大312MB/sでの高速読み込みが可能。
この性能を最大限活かすには、UHS-IIのSDカード、microSDカードが必要です。
「UHS-II」は、一般的な「UHS-I」のSDカードよりも高速なデータ転送が可能で、動画撮影には必須とも言えるカード規格。
UHS-IIも、V30、V60、V90とさらに別れていますが、最も高速なのはV90。
「UHS-I」の読込転送速度の最大値は104MB/sですが、「UHS-II」では最大312MB/sまで可能になり,約3倍の違いがあります。
その分UHS-IIのカードは高価です。
サンディスクのUHS-II V90のSDカードで計測してみた結果です。
読み込み速度約285MB/s、書き込み速度約198MB/sと、ちゃんとUHS-IIの性能を引き出せています。
実際動画撮影するなら、128GB以上のUHS-II対応SDカードが欲しいところ。
最大42.5W急速充電
サイドにあるUSB-Cポートは、最大42.5Wでのパススルー急速充電が可能です。
充電しながら、動画を撮影、なんてこともできます。
ProResコーデックで使う
iPhone 13以降のPro, Pro Max両モデルでは、Apple ProResコーデックでの動画撮影が可能になっています。
ProResコーデックは高い色域と、低い圧縮率で高画質な映像を撮影することができます。
iPhoneの設定>カメラ>フォーマットのページをスクロールするとApple ProResのボタンが現れます。
ProResのエンコードにはSDR、HDR、Logの3種類があるので好みにあわせて選んでください。
設定が完了すれば、ビデオアプリを起動すると、左下にProResの文字が表示されます。
タップするごとに、ON/OFFの切り替えができます。
ただし、異常なくらい大きなファイルサイズになるので気をつけましょう。
実際のファイルサイズを以下にまとめてみました。
4K/24fpsの10秒動画 | 27.9MB |
ProResコーデック 4K/24fpsの10秒動画 | 933.1MB |
ProResコーデック 4K/60fpsの10秒動画 | 2.32GB |
同じ4K/24fpsでも30倍以上、ファイルサイズが違います。
ProResで撮影すると10秒でも約1GB、高フレームレートの60fpsで撮影すると2GB超えと、恐ろしいくらいのファイルサイズです。
ProResのための外付けSDカードスロットだけど…
仮にProRes 4K/24fpsで10分撮影すると約60GBを使います。
20分の撮影のためには、約2万円もする128GBのUHS-II SDカードをまるまる使ってしまいます。
フレームレートを上げるとさらに容量の大きいSDカードが必要です。
こうなると映像のプロフェッショナルか、よほど動画好きな方でないかぎり、ProResの撮影はしないでしょう。
どうしてもProResで撮影したい場合は、高額なSDカードを購入するよりも、外付けSSDのほうが安くすみます。
Anker MagGo USB-C カードリーダーの使い方
ProRes撮影は、一般ユーザーに現実的でないものの、iPhoneの空き容量を増やしたい方は多いのではないでしょうか。
Anker MagGo USB-C カードリーダーで、iPhoneで撮ったビデオ動画や画像を、その場でSDカードに移すことができます。
もしくは、その逆、デジカメの画像をSDカードからiPhoneに読み込む場合にも使えます。
これが一番万人受けする使い方かなと思ってます。
やり方はカンタン。
移動したい動画や写真を選択したら、「”ファイル”に保存」をタップ。
「外部ストレージ」が表示されているのでタップして保存するだけ。
保存を確認したら、iPhoneからコピーしたファイルを削除するだけ。
これでiPhoneの空き容量を減らすことはありません。
SDカードに取り込んだファイルをPCに移すこともできます。
ケーブルが浮いてしまうのでカッコいいとは言えない接続スタイルですが、MacBookでもSDµSDカードリーダーとして使えます。
Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps)のまとめ
- ProRes撮影の動画を直接保存できる
- 撮影しながら最大42.5Wで充電可能
- MagSafe対応なので片手で楽々撮影
- iPhoneの動画をSDカードに高速でコピーできる
- ProResコーデック自体、敷居が高い
- ProRes用なら外付けSSDのほうが低価格
実際に購入して、使った感想をメリット、デメリットにまとめてみました。
評価では星3としてますが、製品の性能を考えるだけなら星5でもいいかと思ってます。
ProResコーデックでの撮影がかなり特殊なため、自分には合わなかったというだけです。
きれいな映像を撮りたい、ProRes撮影を楽しみたい、という方にはおすすめできる製品です。
また、ProResでなくても、ノーマルの動画や写真もSDカードに移すことができるので、iPhoneの空き容量を心配している方にもおすすめできます。
この記事を読んで「Anker MagGo USB-C カードリーダー (3-in-1, 10Gbps)」が気になった方は、製品ページをチェックしてみてください。
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