前作から評価の高かったTechnics/テクニクス(※)の完全ワイヤレスイヤホンですが、2023年6月、さらに高音質と多機能に磨きをかけたハイエンド機種Technics EAH-AZ80が登場。
実際使っていますが、その実力は本物。
ただし、いくら性能が高いとはいえ、音質に限っていうと3万円以上の機種はほとんど好みの領域。
Appleのエコシステム(連携機能)の一部ともいえるAirPods Pro2で満足しているMacユーザーのボクが、わざわざ4万円近くも出費してまで買い足した理由があります。
それはTechnics EAH-AZ80の3台同時接続を可能にしたマルチポイント機能。
これさえあれば、iPhone, MacBook, iPadを切り替えることなく同時接続が可能。
加えて、iPhone15シリーズから充電ポートがUSB-Cになりました。
MacBookもiPadもすでにUSB-Cポート、iPhoneがUSB-Cポートになれば、AirPods ProのためだけにLightningケーブルを準備したくありません。(現在AirPods ProもUSB-Cモデルにアップグレード)
Technics EAH-AZ80を導入すれば、身の回りのケーブルはUSB-Cに統一され、晴れて脱ライトニングケーブルを達成できるのです。
とはいえ、多くの方が気になるのは、Technics EAH-AZ80の音質と性能。
早速レビューしていきます。
※テクニクス/Technicsは、パナソニックのHi-Fiオーディオのブランド名です。
Technics EAH-AZ80製品詳細
同梱品
- EAH-AZ80イヤホン本体
- 充電ケース
- USB-C to C充電ケーブル:約0.2 m
- イヤーピース:XS1、XS2、S1、S2、M、L、XL 各2個(Mはイヤホンに装着)
- 取り扱い説明書(安全編・操作編)
製品スペック
ドライバーユニット | 直径10 mm:アルミ振動板 |
再生時間 ・イヤホン本体 | 約7.0 時間(ノイキャン ON、AAC) 約6.5 時間(ノイキャン ON、SBC) 約4.5 時間(ノイキャン ON、LDAC) |
再生時間 ・充電ケース込 | 約24 時間(ノイキャン ON、AAC) 約23 時間(ノイキャン ON、SBC) 約16 時間(ノイキャン ON、LDAC) |
短時間充電時再生時間 | 15 分充電で約70 分 (ノイズキャンセリングON、AAC) |
充電時間 | イヤホン:約2.0 時間 充電ケース:約2.5 時間 イヤホン+充電ケース:約3.0 時間 |
質量 | イヤホン:約7 g(片側のみ:LR同値) 充電ケース:約50 g |
Bluetooth | Bluetooth 5.3 周波数帯域:2402 MHz~2480 MHz |
対応プロファイル | A2DP、AVRCP、HSP、HFP |
対応コーデック | LDAC、SBC、AAC |
防滴仕様 | IPX4相当 |
充電 | USB Type-C、ワイヤレス充電 |
外観
イヤホン本体
TechnicsのEAH-AZシリーズはシルバーを見かけることが多いですが、ブラックもなかなかイイ。
Technicsのロゴの周りのヘアライン加工は高級感があってグッド。
イヤーピースは浅めから深いものまで7種類。
これだけあれば、多くのユーザーにピッタリのものが見つかりそう。
イヤーピースは黒と白いシリコーンパーツの2層構造。
イヤホンの本体の先端は一般的な交換用イヤーピースなら問題なさそう。
イヤーピースの外側は柔らかいシリコーンですが、さすがに安っぽさはない。
白いシリコーン部はしっかりとした硬さ。
取替は楽ちん。いろいろイヤーピースを試したい人には結構大事なポイント。
充電ケース
充電ケースのトップはヘアライン加工とTechnicsの刻印が美しく高級感たっぷり。
フタ部分がアルミ素材で良すぎるだけに、下半分がプラスチック(樹脂素材)なのが、ちょっと残念かな。
フタ部分だけがヒンヤリしているので、触ると違いがわかりやすい。
とはいえ上下で見た目の違いはほとんどないので、所有欲の問題。
背面に充電用USB-Cポート。
ケースを開くと充電インジゲーターが点灯して現在の充電量を教えてくれます。
イヤホンの収納スペースは、純正で深めのイヤーピースにも対応しているので、いろんな社外品が使えそう。
イヤホンはカナル型としてはかなり取り出しやすい。
磁力は弱くもなく強くもなく。
収納時はバチッ!という感じではなくカチャッという感じ、伝わりますか?
底面には製品情報、製品コードが印字。
重量
イヤホン単体の重さは6g
充電ケース込みなら、総重量60g、AirPods Pro2の総重量が61gなのでほとんど同じくらい。
AirPods Pro2と外観比較
かなり近いサイズ感の2機種。
カナル型かウドン型か、好みの分かれるところ。
イヤホンの操作感だけでいえばAirPods Pro2が圧倒的に優れています。
逆にカスタマイズ性能は、AZ80が圧倒的。
真横から見ると、コンパクトさはいい勝負。
サイドからみたところ
真上から比較。
ワイヤレス充電(Qi)
ワイヤレス充電に対応
ボクはワイヤレス充電を多用するので、うれしい進化ポイント。
使い方
アプリのダウンロードからペアリングまで
まずはアプリ『Technics Audio Connect』をダウンロード。
あとは、アプリの指示に従い両耳に装着。
両耳でサウンドが鳴っていることを確認したら、スマホのBluetooth設定からペアリング。
ペアリングが完了したら、アプリのホーム画面にEAH-AZ80が表示されます。
音声アシスタント
音声アシスタントの操作も可能。
Alexa、Googleアシスタント、Siriから指定します。
ノイズキャンセリング・アンビエント
初回ノイズキャンセリングはユーザーごとに最適化をしてくれます。
ノイズキャンセリングが苦手な方は、事前調整で最大値を抑えておくといいです。
特に問題のない方は最大で。
あとからでも最適化はやり直せます。
イヤホン本体での操作では、ノイキャン、外音取り込み共にOFFの状態を、カットできます。
外音取り込み時に、音楽を止めるか再生を継続するかの設定もできます。
この2つは、細かいけれどユーザーごとに好みがあるので設定できるかどうかは”使いやすさ”に大きく関わってきます。
イコライザー
イコライザーは、以下から選択可能。
カスタマイズは5つのスライダーで調整可能。
- ダイレクト(フラット)
- バスエンハンサー(低音強調)
- バスエンハンサー+(重低音)
- クリアボイス
- トレブル+(高音強調)
- ダイナミック
- カスタム
紛失防止機能
イヤホンを探す機能も搭載。
ケースから出して、失くした場合は音で探すか、最後の記録された位置情報から探すことになります。
イヤホンにはオートオフ機能がありますが、探す機能を使いたいなら、常にオンの状態にしておきましょう。
マルチポイント機能
今回の目玉でもある3台同時マルチポイント接続。
Android端末の方でLDAC(ハイレゾ相当のコーデック)を利用した場合は1台または2台接続。
移動しながらのLDAC利用の場合、1台接続が安定します。
Apple製品の場合、LDACは使えないこともあり、ボクは3台接続を選んでます。
最高に便利!
iPhoneにMacBookさらにSwitchに接続なんて使い方もできます。
2台目以降のペアリングは、イヤホンを装着したまま長押しすることでペアリングモードに移行。
通話に関する設定:JustMyVoice
通話に関する設定も抜かりなし。
JustMyVoiceをONにすると周囲の騒音を抑えて、相手に対してユーザーの声を聞きやすくしてくれます。
チュートリアルで、設定した状態を自分の声で確認ができる。
通話相手からの音声もノイズを抑える機能もあります。
パーフェクト。
その他の機能
1.オートパワーオフ
無音状態の場合電源OFFにする時間を選択
2.ヘッドホン装着検知
耳から外した場合音楽を止める、1分以内の再装着で再生再開、耳から外している場合のタッチ操作
3.接続モード
音質優先するならコーデックをLDACで優先的に接続
接続優先ならSBCコーデックに固定
4.音切れ、遅延の抑制
自動・音切れ抑制・遅延抑制の3つから選択可能
使用した感じでは、自動にしていても動画くらいなら特に問題ありません
ゲーム用途なら遅延抑制を選びましょう
5.ガイダンスのカスタマイズ
接続、ノイキャン切替時にアナウンスにするか通知音のみにするか、選択可能
デバイスごとに設定可能
タッチコントロール
タッチコントロールのカスタマイズは左右独立して設定が可能。
使用感
フタの開け閉め、イヤホンの出し入れ、ワイヤレス充電など基本的な使い方はどれも優秀。
耳に装着したときも、きちんと片方ずつから「装着しました」のアナウンスがあり(OFF設定可)安心して使用できます。
つけ心地・フィット感は、個人差があるのでなんともいえませんが、長時間でも不満のないレベル。
一般的なカナル型でありながら、サイドをつまみやすいので装着時にタッチ操作で誤動作させにくいのもグッドポイント。
イヤホンのタッチ操作は、遅延もなく反応も速い。
音量操作も悪くはないですが、AirPods Proの上下にスライド調整が神すぎて、タップ操作が最高とは言いづらい(長押し操作による音量調整は不可)
音質
音質は言うことなし!
落ち着いた大人のサウンド。これにつきます。
イコライザーをイジらずに聴いてますが、低音、中音、高音すべてが安心して聞きやすい。
攻めた音質が好みの方には向かないかも。
といっても、ある程度はイコライザーで調整可能なので心配無用。
歯切れのよい速い曲よりは、ゆったりした曲向きの調整。
アップテンポのロックやJPOPが苦手なわけではないですが、バラード系やクラシックはより優雅に聴けます。
前作はテンポの速い曲が苦手だったようですが、今作は改善されてます。
全体的にボーカル含めて広めの臨場感。
有線に近いという評価もありますが、それはさすがに言い過ぎかも。
だいたい、4万円弱の価格帯で音が悪いはずがない。
外音取り込み
アプリのアンビエントモードの設定から、2種類のモードを選択可能。
1.トランスペアレントモード:周囲の音を拾い上げる一般的な外音取り込みモード
2.アテンションモード:音楽を停止し、人の声をひろいあげることに特化したモード
外音取り込み(トランスペアレント)はかなり自然、、、ですがホワイトノイズは若干入ります。
AirPods Pro2には若干及ばず、といったところですが、装着したまま会話も自然にできます。
会話を目的とするならアテンションモードを選択しておくとどんな状況でも会話やアナウンスに集中できます。
2つのモードは、どちらもよくできた機能なので、日常使いではまず困らないでしょう。
ノイズキャンセリング機能
アナログ制御とデジタル制御の2つを使ったデュアルハイブリッドノイズキャンセリングは、かなり強力。
現時点(2023年6月)でトップクラスの性能。
高音域の消音はわずかにAZ80が上、逆に中音域はAirPods Pro2、ほとんど誤差レベル。
ノイズキャンセリングで耳に圧迫感がないのはEAH-AZ80の方で、AirPods Pro2は効きは強力ですが相応の圧迫感があります。
低域は両機種共にガッツリ消してくれます。
機内で使ってみましたが、問題のない静粛性。
ノイズキャンセリングは、Bose QuietComfort Earbuds II > AirPods Pro2 = Technics EAH-AZ80
※上記の検証は、航空機内ならびに電車内で行っています。
3台同時接続はクセになる便利さ
これだけ音質もよく高性能、さらに業界初の3台同時接続を可能にしたマルチポイント機能付き。
ヤバいくらい便利です。
iPhone、MacBook、iPad Proの組み合わせで出張に持っていきましたが、充電ケースから出しただけで3つのデバイスに接続されているのは、かなり使い勝手がいい。
AirPods Pro2の不満なところ
AirPods Proは、ユーザーの近く、もしくは手に持ったAppleデバイスに自動で接続してくれる便利なイヤホンなんですが、不満もあります。
例えばiPhoneで音楽を聴きながら、iPadを手元で動画付きサイトなどを確認していると、操作対象がiPadに移り、音楽が途切れてしまう場合もあります。
他にも、稀に接続がうまくいかない場合があり、突然iPhoneから動画の音声が響き渡ったりすることもあります。こ
さらにはMacBookへは自動で切り替わらないため、画面右上の即時通知から手動接続の作業が必要になります。
その点、Technics EAH-AZ80にも搭載されるマルチポイントは同時接続なので、iPhoneの音楽再生を停止して、MacBookで動画の再生をはじめれば間違いなくイヤホンから流すことができます。
Lightningケーブル問題
なんといってもiPhone15 の端子がUSB-Cになる(予定)ので、AirPodsからEAH-AZ80に乗り換えるだけで、Lightningケーブルが不要になります。
個人的には、脱ライトニングケーブルのために、AZ80を購入したといってもいい。
4台目の接続はどうやる?
3台目のデバイスを別のデバイスに乗り換えることも可能。
今後も使う予定のデバイス2台または1台を接続した状態で、ペアリングモードへ。
ペアリングモードはイヤホンを装着した状態で長押し。
実例では以下の通り。3台目をiPadからSwitchに切り替えます。
- iPad、iPhone、MacBookを接続した状態からiPadの接続を解除または電源OFF
- iPhone、MacBookに接続した状態で、イヤホンを長押ししてペアリングモード
- SwitchのBluetoothオーディオからAZ80を選択で完了
Technics EAH-AZ80まとめと注意点
評価ポイント
- クセのない優雅な音作り
- 圧迫感の少ない強力ノイキャン
- 会話目的か自然な環境音か選べる外音取込み
- 業界初の便利すぎる3台同時マルチポイント
- これ以上ないと思えるアプリのカスタマイズ性の高さ
- 元気サウンドが好きな人には向かない
- 側面も高級感が欲しい(高いので笑)
- 下位機種EAH-AZ60M2と1万円の差は本気で聴かないと感じられない
まとめ
総合力では、現時点でのノイズキャンセリング付きワイヤレスイヤホンの最高峰です。
ただし、下位機種EAH-AZ60M2もコストカットした同等の機能を備えていて、音質の差も感じづらい。
簡単に説明するとEAH-AZ60M2と比べて、ノイキャン、外音取込の効きが少しUP、音質、通話性能も少しUPしているのがEAH-AZ80。
EAH-AZ80は、サウンドのレスポンスも気持ち速いので、より幅広いジャンルの音楽が楽しめます。
逆にEAH-AZ60M2は低音が少し強めで味付け自体が違う感じ。
両製品は、少しずつの差が積み重なって1万円の差になっているのですが、言い方を変えれば、EAH-AZ60M2は弱点のないコスパモデルで、EAH-AZ80は、微妙なところを丁寧に仕上げたモデルとも言えます。
最高の音質を手にしたい、所有欲を満たしたいと考えるならEAH-AZ80、少しでも出費を抑えたいならESH-AZ60M2がベストの選択。
テクニクス EAH-AZ60M2は性能、音質どちらも悪くない仕上がりだし、3台同時マルチポイントまで搭載しているのが、かなり悩ましいところです。
気になった方は各製品ページをチェックしてみてください。
AZ80を推しておきながら何ですが、3台同時マルチポイントが必要なければ、個人的2023年ベスト完全ワイヤレスイヤホンは『EarFun AirPro 3 』です。
移動中に使うことが大半の目的であるワイヤレスイヤホンは、いくら音質重視の製品が注目を集めても、やっぱり求められるのはガジェット的性能。
その点、EarFun Air Pro 3は価格と性能のバランスが絶妙だと思うんです。
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